入間市を代表する近代建築「旧石川組製糸西洋館」。
旧石川組製糸西洋館は、石川組製糸の創業者石川幾太郎が大正10年(1921)頃に建てた迎賓館で、国登録有形文化財(建造物)になっています。
文化財としての価値だけではなく、さまざまな魅力が詰まっています。百聞は一見にしかず、ぜひ足をお運びください。
歴史
石川組製糸は、いまから約130年前の明治26年(1893)に操業が開始されました。当初はこじんまりした家族的な経営を行っていましたが、石川一族が一丸となり、機を見るに敏な経営により、瞬く間に会社の規模を拡大していきました。最盛期には入間市内の3工場をはじめ、県内の狭山・川越市、県外の福島・愛知・三重・福岡県など、全国に9工場を所有し、大正11年の横浜からの生糸出荷高では全国6位となっています。
当時の生糸は。日本が海外に誇る重要な商品だったことから、石川組製糸も外国が主な取引き先でした。そこで外国商人が現地視察に訪れるに当たり、幾太郎が「豊岡(現在の入間市)がみくびられてはならない」との思いで、贅を尽くして建てたのが「西洋館」です。
外観
建物の外観は、煉瓦調の化粧タイルで統一され、ひときわ目を引く重厚な雰囲気があります。館内も大正時代を彷彿させる空間が広がり、宮大工の手になる細やかな天井装飾、床の周囲を廻る寄木細工や照明器具は、部屋ごとに様々な趣向がこらされています。また、大理石製の暖炉やサイドボード、イスなどの調度品類の中には外国から輸入されたものもあり、当時の石川組製糸の富の大きさを知ることができます。なお、西洋館は太平洋戦争後、進駐軍に接収された時期があり、その時の改造の跡も見られます。
石川組製糸は、大正12年の関東大震災による経済的な損失、生糸価格の下落、景気後退に伴う資金繰りの悪化などの原因で、昭和12年に幕を閉じています。このため現在では、石川組製糸があったことを物語る資料はほとんど残っていませんが、西洋館の存在が当時の石川組製糸の栄華をいまに伝えています。
一般公開
文化財建造物として、定期的に一般公開されています。見学の際には、西洋館コンシェルジュ(ボランティアガイド)によるガイドツアーも行われており、より深く西洋館や石川組製糸のことを知ることができます。
また、館内のひと部屋が喫茶コーナーとなっており、コーヒー(有料)を飲みながらゆっくり西洋館の雰囲気を味わうことができます。
【※新型コロナウイルス感染症対策のため、現在は不定期で営業しています。】
イベント
建物の特色を生かしたコンサートや撮影会、講演会などが定期的に開催され、洋館の雰囲気と相まって魅力的なイベントになっています。各イベントの情報は、西洋館公式フェイスブックでご確認ください。
≪ 西洋館公式フェイスブック https://m.facebook.com/irumashidriyoukan/ ≫
撮影への貸出
テレビ・映画等の撮影への貸出も行っていて、様々な作品に西洋館が登場しています。このため公開日には作品のファンが訪れ、ロケ地としても隠れた人気があります。見学した後に、作品の中で西洋館のシーンを探してみるのも面白いです。
入館料(団体料金)
一般 200円(160円)
※中学生以下は無料
※身体障害者手帳、精神障害者福祉手帳又は療育手帳をお持ちの方、その介護者の方は無料
※JAF会員証ご提示で団体料金を適用